社内のデータを整理して活用する際に活躍するETLやETLツールは、近年多くの企業が利用しています。しかし、まだETLを導入していない方にとっては、ETLとはどのようなものなのか、ETLツールにどんなメリットがあるのかなど不明な点も多いのではないでしょうか。
そこで今回こちらの記事では、ETLとETLツールの機能や仕組み、メリットなどを詳しく解説していきます。
- 1 ETLとは?用語としての意味、定義をスッキリ解消
- 2 ETLツールとは?ETLツールの機能についても詳しく解説
- 3 ETLツールのメリットと注意点
- 4 ETLツールの種類と上手に選ぶポイント
- 5 ETLツールを導入する流れ
- 6 無料で利用できるおすすめのETLツール
- 7 効率のよいETL処理が可能なおすすめETLツール5選
- 8 WEB広告運用には広告特化のETLツールもおすすめ
- 9 まとめ
ETLとは?用語としての意味、定義をスッキリ解消
はじめに、ETLの用語としての意味や定義について解説します。ETLの言葉の意味を理解した上で、ETLツールについて見ていきましょう。
ETLとは?
ETLとは、「Extract」「Transform」「Load」の頭文字を取ったもので、上図のようにデータソースからデータを抽出して加工し、DWHへ連携する一連の流れを指しています。
社内のデータを整理して活用する際に活躍するETLやETLツールは、近年多くの企業が利用しています。しかし、まだETLを導入していない方にとっては、ETLとはどのようなものなのか、ETLツールにどんなメリットがあるのかなど不明な点も多いのでは[…]
3つのそれぞれの工程については、このあとETLツールの解説部分で詳しく紹介します。
【参考】ETLとELTの違い
ETLは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(ロード)の略で、データを抽出して変換し、データウェアハウスにロードします。
一方、ELTは、Extract(抽出)、Load(ロード)、Transform(変換)の略で、データを抽出してロードし、その後に変換を行います。
つまり、ETLはデータの前処理を行い、ELTはデータの後処理を行うという違いがあります。
【参考】ETLとDWHの違い
DWH(データウェアハウス)は、データソースから抽出したデータを加工したのち、保存する場所になります。そしてETLは、DWHへデータを連携する過程を示しています。
【参考】ETLとBIの違い
BIは、「ビジネスインテリジェンス」の略で、ビジネスにおいて意思決定を行うためのプロセスを指しています。
データの収集→蓄積→分析→可視化
上記が一般的なビジネスインテリジェンスの流れです。ビジネスインテリジェンスは、企業が持つ多くのデータを活用して行われますが、そのもととなるデータを格納しているのがDWHになります。
ETLは、このDWHへデータを整理して格納する役割を果たすため、BIにとってETLは必要不可欠な存在とも言えます。
ビジネスの場で、BI(ビジネスインテリジェンス)という言葉を耳にしたことはないでしょうか。近年多くの企業でBI(ビジネスインテリジェンス)への関心や導入が増えてきています。 しかし、BI(ビジネスインテリジェンス)に興味はあるものの、[…]
【参考】ETLとEAIの違い
EAIは、CRMや会計システム、販売システムなどさまざまなシステム間のデータ連携を高速で実施する仕組みです。企業では、さまざまな場所で同時に同じデータを利用する機会が多く、データの重複などが起きないように、EAIがデータを管理・連携します。
ETLのようにデータを一方的に加工して連携するものとは異なる概念です。
【参考】ETLとRPAの違い
ETLは、データウェアハウスにデータを取り込むプロセスであり、データを前処理することができます。一方、RPAは、ルールベースのプロセス自動化ツールであり、データの収集や処理を自動化することができます。
ETLはデータの前処理を行い、RPAはデータの処理を自動化することができるという点が、両者の違いとなります。
ビジネスにおけるETLの必要性
ビジネスにおいてETLはとても重要な役割を果たしています。
近年のビジネスは、データを活用した戦略的なマーケティングが実施される機会が多くなっていますが、企業が扱うデータは膨大な量になるため、手動での作業は現実的ではありません。
そこで活用されるのがBIツールです。BIツールによって企業が持つデータを分析し、マーケティングにおける意思決定を進めていくのです。ただ、企業が持つデータはさまざまなデータベース・データソースに格納されており、形式がバラバラであることも多いのが現状です。
そこで今度はETLツールを利用します。ETLツールは、社内に散らばるデータを一箇所に集約します。その際データの形式も加工して整えることができます。このように、ETLは現在のビジネスにとって重要な存在となっているのです。
マーケティングを成功させるには、さまざまなデータの活用が欠かせません。しかも、最善のマーケティング施策を実施するためには、多くのデータを分析する必要があります。しかし社内にある膨大なデータを管理するだけでも容易なことではなく、さらに分析も行[…]
ETLツールとは?ETLツールの機能についても詳しく解説
ETLの意味や定義を理解したところで、次にETLツールとはどのようなツールなのか、その機能について詳しく解説します。
ETLツールとは?
ETLツールとは、前述したETLのプロセスを自動化するツールです。手動では難しい、あるいは時間のかかる作業をツールが自動で行うため、作業の効率化が期待できます。
ETLツールの主な機能
ETLツールの主な機能を3つ紹介します。
1.Extract機能
Extractは「抽出」の意味を持ち、データソースからデータを抽出する工程を指します。まずは社内のあらゆるデータソースから、ETLツールがデータを抽出します。
2.Transform機能
Transformは「加工」の意味を持ち、データソースから抽出したデータを加工する工程を指します。社内に存在するデータは、データソースや作成者ごとに形式が異なるため、ETLツールがデータを整えます。
3.Load機能
Loadは「書き出し」の意味を持ち、ETLによって加工されたデータをDWHへ連携する工程を指します。「抽出」「加工」「書き出し」を経てデータはDWHに格納され、BIツールなどで利用できる状態になります。
ETLツールのメリットと注意点
ETLツールの機能を理解したところで、次はETLツールのメリットと注意点を見ていきましょう。以下のメリットを理解し、注意点についても把握した上で、ETLツールを利用してください。
ETLツールを利用する3つのメリット
ETLツールを利用するメリットには以下のようなものがあります。
- 社内に散らばるデータを統合できる
- データを整え活用しやすくする
- 時間や知識がなくても利用できる
メリット1:社内に散らばるデータを統合できる
ETLツールは、社内に散らばるデータを統合することが可能です。社内のデータは、部署ごとに管理されていたり、拠点ごとに管理されていたりと散らばっているケースが多くなります。このままでは、すぐにデータを分析する、集計するといったことが難しい状態になります。
そこでETLツールを利用すれば、自動で収集して統合することができます。
メリット2:データを整え活用しやすくする
社内に散らばるデータは、そのまま収集・統合するだけでは十分活用できません。なぜなら、社内のデータはデータソースごと、あるいはデータの作成者ごとに微妙な形式の違いなどがあるからです。
Excelを思い浮かべるとわかりやすいのですが、例えば同じ日付を軸にしたデータでも、日付の表示形式が「2021/12/1」と「2021年12月1日」が混ざっていると、フィルタを使ってソートする際に修正しなくてはなりません。
こうした作業もETLツールで実施できますので、その後のデータ活用がスムーズになります。
メリット3:時間や知識がなくても利用できる
ETLツールが行う作業は自動化できる部分が多いので、膨大な量のデータを扱っていても短時間で完結できます。また、プログラミングなどの専門的な知識を持たない方でも、簡単に利用できるのが、ETLツールを利用する大きなメリットです。
ETLツールの利用する際の3つの注意点
上記のようなメリットを持つETLツールですが、注意点もあります。
- ツールによって使い勝手が異なる
- 導入や学習に時間が必要
- コストがかかる
1.ツールによって使い勝手が異なる
ETLツールは、ツールごとに使用感や操作感が異なります。また、ETLツールのメリットで専門的な知識がなくても簡単に利用できるとお伝えしましたが、中にはある程度の知識がないと利用が難しいツールも存在しています。
そのためETLツールを利用するユーザーの知識や経験に合わせてツールを選定する必要があります。
2.導入や学習に時間が必要
ETLツールは、導入までに若干の時間が必要です。これは、まずどのETLツールを導入するかを検討する期間、そして導入を決めてから自社に合わせた環境の構築などです。また、難しい知識が不要なツールであっても、はじめは使い方を学習する時間も必要となります。
ですから、ETLツールを導入する際はある程度スケジュールを組んで進めることがポイントです。
3.コストがかかる
ETLツールは、利用するにあたりコストが発生します。ツールによって費用は異なりますが、基本的に毎月ランニングコストが発生すると考えておいてください。最低でも毎月数万円、利用シーンによっては数十万円というケースもあります。
ETLツールには無料のツールも存在しているので、コストを抑えて利用したい方は無料ツールをおすすめしますが、無料ツールは機能に制限があるなどのデメリットもあるので注意が必要です。
ETLツールの利用をおすすめしたい3つのシーン
ETLツールの利用をおすすめしたいシーンを、3つ紹介します。以下のような場合には、ETLツールを導入するのがおすすめです。
- 社内のいろいろな場所に多様なデータがある
- データを集計したいが、量が多すぎて対応しきれない
- BIツールを利用したいが、データがまとまっていないので導入できない
1.社内のいろいろな場所に多様なデータがある
社内の複数の場所にデータが散乱しているようなシーンでは、ETLツールの利用をおすすめします。自社や事業の現状を正しく把握するためには、データの一元管理は必須です。
これができていないと、現在自社がきちんと利益を創出できているのかがわからず、最悪の場合赤字だと把握できていないまま事業を継続しているといったことにもなりかねません。
まずはETLツールを導入して、すべてのデータを一箇所に統合しましょう。
2.データを集計したいが、量が多すぎて対応しきれない
前述したように、データを集計・統合することは非常に重要ですが、データ量が多すぎて対応しきれないといったシーンもあるかと思います。このようなシーンでも、ETLツールが活躍します。
ETLツールは大量のデータを処理する能力がありますので、手動では対応できないようなケースでも、問題なく処理できます。
3.BIツールを利用したいが、データがまとまっていないので導入できない
近年BIツールを導入する企業が増えてきています。BIツールは社内のデータを活用して意思決定をサポートしてくれる大変有能なツールです。しかしこのBIツールも、分析するための整ったデータが用意できなければ活用できません。
しかしこのようなシーンも、ETLツールを利用すれば解決できます。ETLツールによってさまざまなデータソースからデータを抽出し、正しい形に加工してDWHへ格納すれば、その格納されたデータをBIツールで利用できるようになります。
ETLツールの種類と上手に選ぶポイント
ここからは、ETLツールの種類、そしてその中から上手にツールを選ぶポイントについて解説していきます。
ETLツールの主な種類
ETLツールは、主に2種類のツールが存在しています。
無料(OSS)のETLツール
ETLツールには無料で利用できるツールがあります。多くの無料ETLツールは「OSS」と呼ばれるタイプのツールです。OSSとは「オープンソースソフトウェア」のことで、ツールのソースコードが公開されており、自由に手を加えられる仕様になっています。
OSSのETLツールなら、ランニングコストなしでツールを利用できますが、サポートを受けられない、使い方の解説がない、日本語非対応といった難点もあるので、導入できるかどうかは企業次第となります。
企業において業務の効率化や成果の最大化を目指す際、さまざまなツールが用いられます。その中で今回紹介するのが「ETLツール」です。ETLツールの機能は、その他のツールを活用するために重要な役割を果たします。 こちらの記事では、OSSのE[…]
有料のETLツール
有料で利用するETLツールには、非常に優秀なツールが多数あります。導入から運用まで丁寧なサポートを受けられるので、はじめてETLツールを利用する方でも安心して導入できます。
ETL専用のツール
ETLツールの主要な機能である「Extract」「Transform」「Load」に特化したツールです。ほかの機能が不要な場合は、ETLに絞り込むことで費用を抑えられる傾向があります。
ETL機能を搭載したEAIツール
EAIツールのなかには、ETLツールの機能を備えているものもあります。例えば、アステリア株式会社が提供する「ASTERIA Warp」などは、ETL機能を搭載したEAIツールです。
ETL機能が使えるパブリッククラウド
Amazonのパブリッククラウド「AWS」には、ETL機能を利用できるオプションがあります。すでにAWSのサーバーなどを利用していて、ETLツールを利用したいという場合には提供元が同じサービスを利用することで、データの連携などもスムーズに行えるでしょう。
ETLツールを上手に選ぶポイント
多数存在するETLツールの中から、上手にツールを選ぶポイントを紹介します。
- 導入目的や導入効果をシミュレーションする
- コストを確認する
- 使い勝手を確認する
- 機能を確認する
- 導入サポートや開発支援の機能を確認する
POINT1:導入目的や導入効果をシミュレーションする
ETLツールを導入する際は、なぜ導入するのか「目的」を明確にしましょう。また、適切なETLツールを選択するには、導入前にシミュレーションを行い、導入による効果を見積もる必要があります。
例えば、ETLツールの導入によって、データ処理の時間を短縮できるか、人的ミスを減らせるかなどを確認することが重要です。
POINT2:コストを確認する
ETLツールを選ぶ際は、コストを確認しましょう。ETLツールを導入すれば、多くの作業が効率化できますが、利用するにあたり発生するコストが見合ったものか、自社の予算的に問題がないかをチェックします。
どんなに優れた機能を持つETLツールでも、予算の問題でNGとなってしまっては意味がありませんので、まずコストを確認することがとても重要です。
POINT3:使い勝手を確認する
次にETLツールの使い勝手を確認しましょう。ETLツールはやや専門性の高いツールも存在しています。導入後実際に利用するユーザーが専門的な知識を持ち合わせていないのなら、そうしたツールは避けるべきです。
また、操作性も重要なポイントです。使い勝手の悪いツールだと、現場でユーザーが率先してツールを使ってくれなくなる可能性が高まります。おすすめは、使いたいETLツールを見つけたら、無料トライアルを利用して実際にツールに触れてみることです。
POINT4:機能を確認する
最後にETLツールの機能を確認しましょう。ETLツールは、どれも基本的な機能は大体一緒と考えて問題ありません。ただ、処理性能の違いやその他の機能に違いがあるケースが多いのです。さらに連携できるデータソースの種類や数も、ツールによって異なります。
まずは自社で利用しているデータソースと連携可能かどうか、そして使いたい機能があるかどうかをチェックしましょう。ただし、使う予定もないのに多機能なETLツールを選んでしまうと、費用が高くなってしまう恐れがあるので注意が必要です。
POINT5:導入サポートや開発支援の機能を確認する
ETLツールを導入する際には、導入後のサポートや保守にも注目する必要があります。ETLツールの提供元が提供するサポートや開発支援の機能が充実しているかどうか、また、それらの機能が導入後も継続的に提供されるかどうかを確認することが大切です。
ETLツールを導入する流れ
ETLツールを実際に導入する際の流れを解説します。以下のような流れで導入すると言うことを踏まえて、スケジュールを組みましょう。
STEP1:ツールの選定
まずはどのETLツールを導入するべきか、選定します。ETLツールを選ぶポイントでも解説しましたように、「費用面」「操作面」「機能面」の3つに着目しながらツールを絞り込んでいきます。
STEP2:問い合わせ・打ち合わせ
導入したいETLツールが決まったら、サービス提供会社へ問い合わせをします。返答があったら、どのような使い方をしたいのか、いつから利用したいのかなど詳細を打ち合わせします。
STEP3:無料トライアルで使用感をチェック
ほとんどのETLツールは無料トライアルが利用できますので、ツールを実際に触ってチェックします。この工程は必須ではありませんが、はじめてETLツールを導入する方は、一度実物に触れて検討するのがおすすめです。
STEP4:契約・導入・利用開始
打ち合わせや無料トライアル利用によって問題がなく、導入を決めたら契約をします。そして導入、利用になります。
無料で利用できるおすすめのETLツール
無料で利用できるおすすめのETLツールを紹介します。今回紹介するツールは、無料ETLツールといえばまっさきに名前が上がる有名ツールです。
RapidMiner
引用元:RapidMiner
RapidMinerは、誰でも簡単な操作で利用できるETLツールです。ドラッグ&ドロップの操作で、さまざまな機能を活用できます。世界で40,000社以上の導入実績もあります。
主な機能
RapidMinerの主な機能には、以下のようなものがあります。
データ収集
RapidMinerは、あらゆるデータソースへのアクセスが可能です。
モデリング
RapidMinerは、豊富な分析アルゴリズムによって効率的にモデルを構築します。モデルは、予測分析を実行して、正確な予測を算出刷るのに役立ちます。
検証・分析・最適化
豊富な可視化機能が、RapidMinerの特徴のひとつです。また、モデルの精度が信頼に値するかどうかを検証し、最適化します。
費用
ETLツールは無料で利用できます。ただし、サポートや日本語マニュアルを必要とする場合は有料になります。
こんな方にオススメ
RapidMinerは、豊富な可視化機能を活用してデータ分析を中心にETLツールを利用したい方におすすめです。20種類以上の可視化機能をもつRapidMinerなら、あらゆる角度でデータを分析できます。
URL
Talend Open Studio
Talend Open Studioは、ビッグデータにも対応できる無料のETLツールです。シンプルでありながら高機能という特徴を持っています。
主な機能
Talend Open Studioの主な機能には、以下のようなものがあります。
ビジュアル開発
Talend Open Studioは、ドラッグ&ドロップ操作によってETLプロセスを作成し、ネイティブコードを生成します。自らコードを記述する必要はないので、専門的知識のない方でも簡単に利用可能です。
バッチ処理
OSSや無料のツールは、有料版に比べてさまざまな制限がかかるケースが多くなりますが、Talend Open Studioは機能面で大きな差はありません。特にバッチ処理については、無料版であるTalend Open Studioでも十分活用できます。
ジョブのパーツ化
規模の大きなバッチ処理を行う際にジョブを分割してパーツ化する場面がありますが、Talend Open Studioでも問題なく実行できます。ただし、データの連携方法に若干の制限があるため、有料版に比べると完全ではないジョブのパーツ化となります。
費用
Talend Open Studioは無料で利用できます。
こんな方にオススメ
Talend Open Studioは、バッチ処理を中心にETLツールを利用する方におすすめです。Talend Open Studioは、有料版Talendとほぼ同等の機能を利用できます。ただし、大量のデータ処理にはやや時間がかかりますので、より早く処理を行いたい方は有料版の利用をおすすめします。
URL
https://www.talend.com/jp/products/talend-open-studio/
インターネットの普及や企業のIT化により、BI(ビジネスインテリジェンス)が注目されるようになりました。そして、企業のデータを有効活用することを目的として、BIツールの導入も進んでいます。 BIツールは、さまざまなデータソースからデー[…]
効率のよいETL処理が可能なおすすめETLツール5選
効率のよいETL処理が可能な、おすすめのETLツールを5つ紹介します。ここから紹介するツールは無料ではなく有料版となります。
おすすめETLツール一覧
ツール名 | 主な機能 | 費用 | こんな方におすすめ |
Tableau Prep |
|
102,000円/年 | BIツールとしてTableauを利用している方 |
trocco |
|
|
|
DataSpider |
|
20万円~/月 | オンプレミスとクラウドでハイブリッド連携を活用したい方 |
Syncsort DMExpress |
|
お問い合わせ | ETLツールにあまり詳しくない方 |
Waha! Transformer |
|
180万円~/年 | 手厚いサポートを受けられるETLツールをお探しの方 |
今回紹介するETLツールは、それぞれ機能面や費用面の違いはありますが、特に注目したいのはどのようなシーンで導入するかという点です。例えば、BIツールのTableauを利用することが前提であれば、同じTableau社のTableau Prepがもっとも相性が良くおすすめです。
なるべく費用を抑えてETLツールを利用したいのであれば、troccoやDataSpiderが良いでしょう。また、これまでETLツールを利用したことがない方や、社内に詳しい人材がいないという場合には、サポートが充実しているSyncsort DMExpressまたはWaha! Transformerがおすすめになります。
このあと各ツールについて解説していますので、そちらの情報も併せてツール選定を進めてみてください。
Tableau Prep
引用元:Tableau Prep
Tableau Prepは、Tableau社が提供するツールです。TableauというとBIツールが有名ですが、ETLツールとして利用できるのがTableau Prepです。ただし、Tableau Prepは厳密にはETLツールではなく「データプレパレーションツール」です。
正式なツールの種類としては異なりますが、実務的にはほぼETLツールと同様の処理が行なえます。
主な機能
Tableau Prepの主な機能には、以下のようなものがあります。
データ抽出・加工
データソースからデータを抽出したら、それぞれのデータの役割を判断して決定します。数値や日付、文字列といったデータの型、そしてURLやメールなどデータの役割から選択します。
クリーニング
Tableau Prepでは、不要なデータをフィルタリングによって抽出して削除したり、グループ化や置換などを実施できます。クリーニングによって無駄なデータを削り、全体の容量を節約できます。
フローの実行とパブリッシュ
Tableau Prepは、実行したフローをプレビューで確認できます。クリーニング後のデータは、そのまま分析に利用可能です。
費用
Tableau Prepは、Tableauの「Tableau Creator」ライセンスで利用できる機能です。Tableau Creatorは年間102,000円のライセンス料がかかります。
こんな方にオススメ
Tableau Prepは、BIツールとしてTableauを利用している方におすすめです。「Tableau Creator」ライセンスを持っていれば、追加料金なしでTableau Prepも利用できるので、コストを抑えつつETL機能を活用できます。
URL
https://www.tableau.com/ja-jp/learn/get-started/prep
企業ではさまざまなデータを取り扱っており、それらのデータを分析することで、現状を把握したり、新たな戦略のヒントを見つけたりします。企業のIT化・DX化が進んでいる近年は、こうした工程を効率よく進めるために、BIツールを導入する企業も増えてき[…]
trocco
引用元:trocco
troccoは、分析基盤として活用しやすいタイプのETLツールです。
主な機能
troccoの主な機能には、以下のようなものがあります。
マスキング機能
troccoでは、必要に応じてデータのマスキングが可能です。例えばメールアドレスの@以前を別の文字列に置き換えるといったことが可能です。
フィルタ機能
不要なデータを削除したい場合など、フィルタ機能を使って任意のデータを抽出して削除できます。
型変換・文字列置換
データソースのデータ型を別のデータ型に変更したり、データ内の文字列を置換できます。
費用
プラン | 料金 |
ライトプラン | 10万円/月 |
スタンダードプラン | 30万円/月 |
エンタープライズプラン | お問い合わせ |
こんな方にオススメ
troccoは、コストを抑えてETLツールを利用したい方、大量のデータを扱う方におすすめです。troccoは定額制なので、比較的リーズナブルに利用できるツールであり、データ転送速度に強みを持っているので、多くのデータを処理する場面で最適です。
URL
https://trocco.io/lp/index.html
DataSpider
引用元:DataSpider
DataSpiderは、プログラミング不要で利用可能なETLツールです。管理が容易な点、低コストで利用できる点が特徴です。
主な機能
DataSpiderの主な機能には、以下のようなものがあります。
データ活用
DataSpideは、データソースからのデータ収集、データのクレンジングを実施できます。BIツールで利用する精度の高いデータ構築に利用できます。
IoT連携
現在さまざまな場面で活用されているIoTデータを、DataSpiderはスピーディーに連携できます。
クラウド連携
DataSpiderは、データやアプリケーションをクラウドへ簡単に連携できます。複数のパブリッククラウドと連携するために、ハイブリッドクラウド用のHUBとして利用することも可能です。
費用
DataSpiderは、月額20万円からとなります。利用環境に合わせてパッケージなどもありますので、導入を検討される際は、見積もりを含めたお問い合わせを行ってください。
こんな方にオススメ
DataSpiderは、オンプレミスとクラウドでハイブリッド連携を活用したい方におすすめです。DataSpiderなら、複数のパブリッククラウドとの連携も簡単に行えます。
また、日本製のETLツールを利用したいという方にもおすすめです。
URL
https://www.hulft.com/software/dataspider
Syncsort DMExpress
Syncsort DMExpressは、バッチ処理を簡単に開発できる超高速ETLツールです。
主な機能
Syncsort DMExpressの主な機能には、以下のようなものがあります。
ステップツリー形式のGUIによる簡単開発
Syncsort DMExpressは、ステップツリー形式で処理パターンを選択する操作で、簡単に開発が行えます。視覚的にわかりやすく、初心者の方でも扱いやすい機能といえます。
データ連携
Syncsort DMExpressはさまざまなデータベース、ファイルなどとの連携が可能です。Qlik SenseやTableauなどのBIツールへのデータ出力にも対応しています。
データ変換
文字列関数、数値関数、条件関数など50種類以上の関数を組み合わせた、複雑なデータ変換も可能です。
費用
Syncsort DMExpressの費用については、直接サービス提供元までお問い合わせください。
こんな方にオススメ
Syncsort DMExpressは、ETLツールにあまり詳しくない方におすすめです。ステップツリー形式などわかりやすいGUIとシンプルな設計になってり、初心者向きのツールといえます。
また、自走支援サービスなどもありますので、不安な方はこうしたサービスを利用することで、安心してETLツールを利用できます。
URL
https://www.ashisuto.co.jp/product/category/etl/syncsort-dmexpress/
Waha! Transformer
Waha! Transformerは、純国産のETLツールです。大手企業など2,000社以上の導入実績があります。
主な機能
Waha! Transformerの主な機能には、以下のようなものがあります。
簡単構築
Waha! Transformerはシンプルな操作によってデータフローの構築が可能です。専門的知識がなくても、直感的な操作でジョブを作成できます。データの加工も、あらかじめ用意されているテンプレートによって瞬時に対応できます。
高速処理
Waha! Transformerは処理速度にも強みがあります。どれだけ高速処理ができるかという点については、1,000億件のベンチマークテストによって証明されています。
セキュリティ機能
企業で取り扱う個人情報は、マスキング機能や暗号化によって安全が確保できます。暗号化はカラム単位で実施可能です。
費用
Waha! Transformerの費用については、直接サービス提供元までお問い合わせください。
こんな方にオススメ
Waha! Transformerは、手厚いサポートを受けられるETLツールをお探しの方におすすめです。純国産ツールであるWaha! Transformerは30年以上運営されており、豊富な導入実績とサポート経験を蓄積しています。
導入前の相談の段階から、導入後の運用アドバイスまでしっかりとしたサポートによって、ETLツールの効果を最大限活かすことが可能です。
URL
WEB広告運用には広告特化のETLツールもおすすめ
ここまでさまざまなETLツールを紹介してきましたが、WEB広告運用を主軸としている企業には、広告特化のETLツールもおすすめです。
WEB広告に特化したETLツール「Databeat」
Databeatは、WEB広告に特化したETLツールです。あらゆるWEB広告媒体のデータをリアルタイムで連携・可視化することが可能です。
WEB広告運用における「Databeat」の3つの活用ポイント
WEB広告におけるDatabeatの活用ポイントを3つ紹介します。
- WEB広告の運用データを自動で抽出・更新できる
- レポートやダッシュボードで検証や分析しやすく可視化
- 外部ツールで利用できるように整形してデータ連携可能
WEB広告の運用データを自動で抽出・更新できる
Databeatは、WEB広告の運用データを自動で抽出します。API等で連携するので、一度設定すればその後は自動で最新情報に更新します。いくつかの媒体を運用しているシーンでは、それぞれの媒体の管理画面を開くことなく、レポートやダッシュボードへアクセスするだけで、WEB広告全体の状況を把握できます。
レポートやダッシュボードで検証や分析しやすく可視化
自動で抽出・更新しているWEB広告のデータは、検証や分析しやすいようにDatabeatがレポートやダッシュボードで可視化します。Databeatが自動で作成するレポートは、テンプレートを用いた形式のため、データの並べ方やグラフの見せ方などで悩む必要もありません。
いつでも社内外へ共有できるレポートが手に入ります。
外部ツールで利用できるように整形してデータ連携可能
Databeatで対応できない高度な分析、AIを用いた分析などをBIツールによって行いたい場合は、データ連携機能を活用できます。Databeatに格納されているWEB広告のデータは、そのままLooker Studio(旧Googleデータポータル)やTableauなどのBIツールへ連携できます。
また、WEB広告のデータは媒体ごとに異なる形式であっても、同じ意味を示すものをあらかじめ整形していますので、スムーズにBIツールで活用が可能です。
現在Web広告の業務に関わる方は、「広告レポート自動化ツール」を取り入れることがベストです。 広告レポート自動化ツールは、Web広告のデータ収集・レポーティング業務を効率化する上で大きな威力を発揮します。 そして、業務効率化以外[…]
まとめ
データソースからデータを抽出してDWHへ連携するETLは、現在のビジネスにおいてとても重要な役割を果たしています。特に規模の大きな事業を行っている企業では、膨大な量のデータを扱っているため、ETLツールを活用して効率よくデータを整理する必要があるのです。
はじめてETLツールを利用する方やそれほど多くのデータを扱わない方は、無料で利用できるツールを検討してみても良いでしょう。ただし、無料のETLツールは機能的に制限されているもの、導入や運用の難易度が高いものが多いため、本格的な利用であれば有料ツールをおすすめします。
国産で手厚いサポートを受けられるツールもありますので、ETLツールについて詳しくない方でも安心して導入できます。また、WEB広告運用を中心に事業展開されている方は、広告に特化したETLツール「Databeat」の利用もおすすめです。
Databeatは、複数の広告媒体で運用している場合など、すべての媒体のデータを自動で集約し、レポートまで作成できるので業務の効率化、そして効果の最大化をサポートできます。
【無料】Databeatサービス紹介資料
広告レポート自動化ツール「Databeat」のサービス紹介資料です。
・Web広告のレポート作成工数を削減したい
・Looker Studioと連携できるレポートツールを探している
・低価格でレポート作成を自動化したい
上記のような課題をお持ちの方は、以下のフォームに必要な項目を入力のうえ、送信してください。
Databeatの詳細な資料をご覧いただけます。