今回はOLAPについての基礎知識と、OLAP分析ができるおすすめのBIツールについて詳しく解説していきます。分析に携わったことがある方なら、OLAPという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その意味をしっかりと理解できているでしょうか?
OLAPは分析において最も基本的でよく使われる手法であるため、本記事でその概念とおすすめのツールについて学び、普段の業務に活かしていただければと思います。
- 1 押さえておきたい「OLAP」・「OLAPツール」の基礎知識
- 2 OLAP分析のできるツールの種類と上手な選び方
- 3 OLAP分析ができるおすすめ有料BIツール9選
- 4 OLAP分析ができるフリー(無料)のBIツール
- 5 BIツール初心者の方にはレポート作成に特化したBIツールもおすすめ
- 6 まとめ
押さえておきたい「OLAP」・「OLAPツール」の基礎知識
まずは「OLAP」や「OLAPツール」について、OLTPやDWH、データマイニングなどと比較しながら基礎知識を押さえていきましょう。
OLAPとは?
引用元:Tableau
OLAPとは、Online Analytical Processingで、日本語では「オンライン分析処理」と訳されます。ここでのオンラインとは、リアルタイムという意味です。蓄積されたデータをもとに多次元的に分析を行い、ユーザーにリアルタイムでレスポンスを返す仕組みがOLAPです。
多次元的な分析とは、特定の指標を複数の軸で分析することを指します。例えば売上データの分析であれば、商品別、エリア別、顧客別、時系列別などさまざまな分析軸で売上の傾向を見ていくことになります。
OLAPの仕組みにより、ユーザーはそのような多次元的なデータ分析を、素早く実行できるのです。
OLAPとOLTPの違い
データ処理の仕組みとして、OLAPの他にOLTPと呼ばれる方式もあります。OLTPとは、On Line Transaction Processingの略で、日本語では「オンライントランザクション処理」と訳されます。ここでのオンラインとはリアルタイムを意味します。
そしてトランザクションとは、分割できない一連の処理のことです。例えば、銀行のATMで振込をする場合、一方の口座からの出金と、もう一方の口座への入金は必ずセットとして扱われます。このような処理がトランザクションとなります。
つまりOLTPとは、ATMでの入出金のような日々大量に発生するトランザクションを、リアルタイムで処理するための仕組みを指します。一方でOLAPはこのようなデータの処理は想定しておらず、大量のデータを多次元的に分析することを目的とした仕組みとなります。
平たくいうと、OLAPは分析の用途、OLTPは日々発生するトランザクションを処理するための用途、という違いがあります。
OLAPとDWHの違い
DWHとはData Warehouseの略で、直訳では「データの倉庫」となります。社内の各種業務システムから収集した大量のデータを蓄積しておくためのシステムがDWHです。DWHに蓄積されたデータは、分析での活用を想定して時系列別、サブジェクト(内容)別に保管されます。
また、蓄積したデータの更新や削除を行うことは基本的にありません。一方で、OLAPにはデータを保管しておく機能はありません。そのため両者の関係としては、大元のデータは全てDWHの中で整理して保管しておき、OLAPは分析に必要なデータをDWHから取得し、多次元的な分析を実施してユーザーに結果を返す、というものになります。
OLAPとデータマイニングの違い
データマイニングとは、大量のデータからビジネスの意思決定に役立つ法則や知見を発見するための技術です。文字通り、データの山から役立つものを採掘(マイニング)するというイメージです。
データマイニングは、統計学や機械学習の手法を駆使して行います。よく使われる手法としては、クラスタリングやロジスティック回帰、アソシエーション分析が挙げられます。
- クラスタリング:購買データからよく似た傾向を持つ顧客同士をグルーピングし、グループ単位での施策を打つ際などに活用されます。
- ロジスティック回帰:YesかNoなど、2択の予測ができるモデルです。例えば、ダイレクトメールを打った場合に反応する顧客、しない顧客を一定の確率で予測できます。
- アソシエーション分析:大量の商品の中から、よく一緒に買われる商品同士を特定する際などに用いられます。例えば、「おむつとビール」という有名な事例があります。これはアメリカのとあるスーパーでデータを分析したところ「おむつとビールがよく一緒に購入される」という法則が発見され、両者を隣同士に配置したところ売上が増加したという話です。
OLAPは、売上や顧客数といった各種の指標を、多次元的に分析するための仕組みです。データからビジネスに役立つ知見を導き出すという目的はデータマイニングと共通していますが、機械学習などを活用する手法ではないため、両者は異なる概念です。
OLAPツールとは?
引用元:データスタジオ@WEB
OLAPとは、DWHなどの元データから必要なデータを取り出し、多次元的な分析を素早く実行するための仕組みでした。ユーザーがこのようなOLAP分析を行う際に使うツールが、OLAPツールです。
OLAPツールでは、主にスライシング、ダイシング、ドリルダウンなどの分析手法が利用できます。
- スライシング:多次元からなるデータベースを特定の断面で切り取って分析する手法です。例えば顧客セグメントという次元をスライシングして、顧客セグメントAだけを切り取って分析するというイメージです。
- ダイシング:次元の切り替えを意味します。エリア別、期間別、商品別など、次元を切り替えながら特定の指標を分析するのがダイシングです。
- ドリルダウン:特定の次元について、分析の粒度を詳細化していく手法です。例えば、時系列で分析をする際、年単位、月単位、日単位など、階層を掘り下げて分析していくのがドリルダウンとなります。
現在では、OLAPツールは基本的にBIツールの機能の一つとして提供されています。
参考:BIツールとの違い
BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは、データの可視化やレポーティング、シミュレーションなどを実行するためのツールです。エンジニアや専門のアナリストでなくても、現場のユーザーがドラッグ&ドロップベースの直感的な操作でさまざまな分析を行えるように設計されていることが、大きな特徴となっています。
ツールによってはレポートのテンプレートも用意されています。テーマに適したテンプレートを選ぶだけで速やかにレポート化できるため、レポートのレイアウトやデザインなどにかかる時間を省略することも可能です。
各種データソースとの連携機能も提供されており、ユーザーはBIツールとデータソースを接続さえすれば、リアルタイムのデータを簡単に可視化したり、レポートの作成をしたりできるため、ビッグデータ活用の現場では欠かせないツールの一つとなっています。
また、BIツールにはOLAPの仕組みが採用されています。そのため、BIツールでは多次元的な分析を、直感的な操作で探索的に行うことができます。なお、BIツールは多次元的な分析のほか、レポートの作成やデータマイニングの機能も備えていることが多いです。
このようなことから、BIツールは、OLAPツールの機能を包含するツールといえます。
引用元:Tableau
OLAPツールの代表的な機能
OLAPツールには以下のような代表的な機能があります。
- 多次元なデータ分析
- データの可視化
- 各種データソースとの連携
多次元的なデータ分析
OLAPツールにより、ユーザーは多次元的な分析を素早く実行できます。売上や顧客数などの分析対象となる指標を、商品別や支店別、時系列別、顧客別などさまざまな軸で自在に分析できる機能がOLAPツールでは提供されています。
引用元:Tableau
データの可視化
OLAPツールは、分析結果をさまざまな形式で可視化する機能が提供されています。可視化の手段としては、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフなどの基本的なビジュアルはもちろんのこと、ツールによってはバブルチャートやサンキーダイアグラム、地図上のヒートマップなど、多彩な表現が可能となっています。
このようなビジュアライゼーションをドラッグ&ドロップベースの直感的な操作で、現場のユーザーが探索的に行うことができます。
引用元:Tableau
各種データソースとの連携
OLAPツールは、各種データソースとの連携機能が提供されています。連携可能なデータソースはツールによって異なりますが、ExcelやCSVなどのファイルはもちろん、MySQLやSQL Serverなどのリレーショナルデータベース、BigQueryなどのDWHやNoSQLなど、多様なデータソースと接続できる場合が多いです。
OLAPツールとデータソースを連携させることで、分析のたびに毎回データを取得する手間がなくなり、またデータソースをリアルタイムで分析することも可能となります。
引用元:Tableau
OLAPツールの活用はこんな方におすすめ!
OLAPツールの活用は以下のようなニーズをお持ちの方におすすめです。
- 現場のユーザーにも分析業務の裾野を広げたい
- 分析業務の効率を上げたい
- ビジュアルに訴える資料を作成したい
1.現場のユーザーにも分析業務の裾野を広げたい
OLAPツールを使えば、エンジニアや専門のアナリストでなくても、現場のユーザーが自らの手で多次元的なデータ分析を実施できます。
多次元的な分析を行うための手段は、OLAPツール以外にも存在します。例えば、RやPython、SASやSPSSなど分析用のプログラミング言語を使用することでも代替できます。これらの言語は高度な分析を柔軟に行うこともできるのですが、扱うには一定以上のプログラミングスキルが求められます。
そのため、エンジニアやアナリスト以外のメンバーが手軽に使いこなすことは困難です。その点、OLAPツールを活用すれば分析業務の裾野を現場のユーザーにまで広げることができます。ビジネスの前線で働く現場のユーザーが、その場で必要な分析をスピーディーに実行できるため、組織としてのデータ活用力を底上げできます。
2.分析業務の効率を上げたい
OLAPツールには、分析業務の効率を向上させる機能が備わっています。例えば、データ連携機能が挙げられます。データ連携機能の利点は、社内に散財する各種データをOLAPツール上で集約して扱うことができ、かつ一度連携させれば、分析結果が自動的に更新されることにあります。
OLAPツールを使用せず、例えばExcelなどで分析業務を行う場合は、効率の面でのデメリットがあります。分析を行うたびに必要なデータを収集し、データの貼り直しや再集計が必要となるためです。また、その過程で手作業によるミスが発生するリスクもあります。
KPIなど決まったデータを定期的にモニタリングしたいといった場合は、OLAPツールを活用するのが効率的です。
3.ビジュアルに訴える資料を作成したい
OLAPツールでは、データを可視化する機能がサポートされています。直感的な操作で、クロス集計表や各種グラフ、マップ上のヒートマップなど、多彩なビジュアルを作成可能です。
データ分析は、ビジネスの意思決定者に有用な知見を提供するために行われます。分析結果の報告相手となる意思決定者は忙しいことが多いため、円滑なコミュニケーションのためには分かりやすいビジュアルが重要です。
グラフなどのビジュアルを多用し、分析結果や示唆をひと目で分かるような資料を作成したい方にも、OLAPツールの活用はおすすめできます。
OLAP分析のできるツールの種類と上手な選び方
OLAP分析のできるツールの種類と、上手に選ぶためのポイントについて解説します。
OLAP分析のできるツールの種類
OLAP分析のできるツールの種類としては、OLAP分析のできる有料BIツールと、OLAP分析のできる無料BIツールがあります。
1:OLAP分析のできる有料BIツール
OLAP分析のできる有料BIツールは、利用するためにライセンス料や保守料などの費用を支払う必要がある製品です。
有料ツールのメリットとしては、組織的な活用に向いていることです。大容量のデータを扱うことができ、分析結果を多人数で簡単に共有できる仕組みが整っているためです。また、導入や運用にあたって、ベンダーの手厚いサポートを受けることもできます。
さらに、有料ならではの高度な機能も充実しています。例えば、OLAP分析だけでなくデータマイニングも実施できたり、連携可能なデータソースの数も非常に多かったりといった利点があります。
デメリットは大人数で使用すると費用が大きくなり、うまく活用しないと費用対効果が見合わなくなる場合があることです。有料ツールの多くは、利用するユーザー数に比例して料金が高くなるため、最低限のライセンス数に絞って導入することが重要となります。
2:OLAP分析のできる無料BIツール
利用にあたって料金がかからない、OLAP分析ができる無料BIツールもあります。メリットは、無料で導入して、実際に業務で活用しながらツールの使い勝手を試せる点です。
デメリットは、無料であるがゆえに機能が制限されている場合が多いことです。例えば、扱えるデータ量やユーザー数、利用可能な分析機能が限定されている場合が多くなります。また、有料ツールのトライアル期間として位置づけられているケースも多く、その場合は一定期間を過ぎると使用できなくなってしまいます。
無料ツールは、個人や少人数のチームが、有料ツール導入の前段階として試験的に活用することが主な用途であるといえます。
自社にマッチしたOLAP分析のできるBIツールを上手に選ぶポイント
自社のニーズに合ったOLAP分析ができるBIツールを選ぶためのポイントを3つご紹介します。
- 自社での利用目的を明確化する
- 費用対効果の高いツールを見極める
- 試験的に導入して使い勝手を確かめる
POINT1:自社での利用目的を明確化する
まずは自社でのツールの利用目的を明確化することが重要です。
部署や事業部などの単位で大々的に導入するのか、少人数のチームでの利用にとどめるのか、OLAP分析だけができればよいのか、データマイニング機能も必要なのか、想定しているユーザーの分析やITに関するリテラシーは高いのか、そうではないのか。
このように、さまざまな観点からツールの目的や用途を整理していきましょう。利用目的が明確であるほど製品の評価がしやすくなり、結果として自社にとって最善のツールを選定できる可能性も高まります。
POINT2:費用対効果の高いツールを見極める
利用目的を満たすツールの中から、費用対効果の高いツールを見極めましょう。
必ずしも無料や最も安価なツールがよいというわけではありません。特に無料のツールは、扱えるデータ量が少なかったり、利用可能人数が少なかったりするなど、機能の制限がかかっていることが多いです。安さだけで選んでも結局活用されず、ツール選定をやり直すことになれば多くの時間が無駄になります。
あくまで業務での活用に十分耐えうる機能水準が満たされたうえで、リーズナブルな価格の製品を選ぶことが重要です。なお、有料製品の場合は利用人数が多いほど料金も高額となる体系であることが多いです。そのため、必要なライセンス数についてもよく検討しておきましょう。
POINT3:試験的に導入して使い勝手を確かめる
利用目的や費用対効果の検討を経て、候補となるツールを洗い出せたら、それらの使い勝手を実際に検証してみましょう。
OLAP分析ができるBIツールにはさまざまな製品があり、ユーザーインターフェースや操作方法、搭載機能には違いあります。実際に一定の期間使ってみることで、最もニーズに応えており、利用するメンバーのスキルにも合致するツールを選定できるでしょう。
有料のツールであっても多くの場合トライアル版が提供されているため、使い勝手の検証は可能です。
OLAP分析ができるおすすめ有料BIツール9選
OLAP分析ができるおすすめの有料BIツールを9製品紹介します。
参考:OLAP分析ができるBIツールとは?
OLAP分析ができるBIツールとは、ユーザーが多次元な分析を探索的に、素早く実行できるツールとなります。多くのBIツールではOLAPの仕組みが採用されており、OLAPツールはBIツールの機能の一つとして提供されています。
またBIツールによっては、OLAP分析以外にも、データマイニングなど高度な分析もユーザーが自らの手で実施できる製品もあります。
OLAP分析ができるおすすめBIツール比較表
以下は、OLAP分析ができるおすすめのBIツールの比較表です。自社のニーズに合ったツール選定にお役立ていただければと思います。
ツール名 | 特徴 | 費用 | こんな方におすすめ! |
Tableau |
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・Creator 102,000円/12カ月 ・Explorer 51,000円/12カ月(Server) 60,000円/12カ月(Online) ・Viewer 18.000円/12カ月(Server) 22,000円/12カ月(Online) |
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MotionBoard |
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初期費用は10万円、月額費用は3万円から |
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Qlik Sense |
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・Qlik Sense Business:1ユーザーあたり月額$30(約3,300円) ・Qlik Sense Enterprise SaaS:費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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LaKeel BI |
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サーバーライセンス型の課金方式。詳細な料金プランについては非公開のため、公式HPよりお問い合わせください |
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MicroStrategy 2021 |
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有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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Alteryx Designer |
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有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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Yellowfin |
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有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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Sisense |
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有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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データスタジオ@WEB |
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有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
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Tableau
Tableauは、アメリカのTableau社が開発したBIツールです。日本における製品の販売やサポートはTableau Japan社が提供しています。
引用元:Tableau
ツールの特徴
Tableauは、世界的に最も普及しているBIツールの一つです。直感的な操作性が大きな特徴となっており、専門知識がなくても鮮やかなビジュアライゼーションを次々に試すことができます。
またデータ連携機能が充実しており、SQL ServerやMySQL、Oracleなどのリレーショナルデータベースの他、Google系サービスやSAPなど、数百以上の多様なデータソースとの接続が可能です。
費用
料金プラン | 料金 |
Creator | 102,000円/12カ月 |
Explorer | 51,000円/12カ月(Server) 60,000円/12カ月(Online) |
Viewer | 18.000円/12カ月(Server) 22,000円/12カ月(Online) |
こんな方におすすめ!
OLAP分析を快適に行い、多彩なビジュアルを交えてレポーティングしたい方におすすめです。ユーザーインターフェースが直感的で分かりやすく、連携可能なデータソースの数も多いため、組織的に活用したい場合にも向いています。
URL
MotionBoard
ウイングアーク1st社が提供するBIツールです。
引用元:MotionBoard
ツールの特徴
MotionBoardは、ビジュアライゼーションの機能が充実したツールです。クロス集計表や折れ線グラフ、棒グラフなど基本的なビジュアルはもちろん、ワードクラウドやガントチャート、3Dマップなど数十種類以上の表現手段が用意されています。
また、GIS機能を搭載しているため、地図データを用いた商圏分析でも活用できます。操作性に関しては、Excelライクのインターフェースを選択できる点が特徴として挙げられます。Excelを使い慣れたユーザーであれば、すぐにOLAP分析を試せます。
費用
初期費用は10万円、月額費用は3万円からとなります。詳細な料金プランは非公開のため、公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
ビジュアライゼーションの機能を重視する方、商圏分析を行いたい方におすすめです。また、ExcelライクのインターフェースでOLAP分析を行いたい方にも適しています。
URL
https://www.wingarc.com/product/motionboard/
Qlik Sense
Qlik Senseは、アメリカのQlik社が提供するBIツールです。
引用元:Qlik Sense
ツールの特徴
大きな特徴として、「連想エンジン」というQlick Sense独自の機能が挙げられます。「連想エンジン」により、Qlik Senseにインポートされたデータ同士が自動的に関連付けられるため、ユーザーはデータ前処理の作業を効率化できます。
「連想エンジン」をはじめとした高度なテクノロジーが採用されているQlik Senseですが、OLAP分析を探索的に行い、手軽にビジュアライゼーションできる操作性も備えています。
費用
料金プラン | 料金 |
Qlik Sense Business | 1ユーザーあたり月額$30(約3,300円) |
Qlik Sense Enterprise SaaS | 費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください |
こんな方におすすめ!
分析用のデータマート作成など、前処理の作業を効率化し、OLAP分析に集中したい方におすすめです。「連想エンジン」によりデータ同士の関連付けが自動的に行われるため、データ結合にかかっていた作業時間を大幅に削減できます。
URL
https://www.qlik.com/ja-jp/products/qlik-sense
Qlik Technologies Inc. が提供する「Qlik」は、ユーザーが自由な発想で直感的にデータ探索できる"データ分析プラットフォーム"です。 Qlikには「QlikView(クリックビュー)」と「Qlik Sense(ク[…]
LaKeel BI
LaKeel BIは、LaKeel社が提供するBIツールです。
引用元:LaKeel BI
ツールの特徴
LaKeel BIには、豊富なレポートのテンプレートが用意されています。例えば、経営・財務分析用、営業・売上分析用、タレントマネジメント用など、会社の業務でよく行われる分析のアウトプットがテンプレート化されています。
また、多くのユーザーにとって馴染みが深いExcelライクなインターフェースが採用されているため、現場での習得コストを低く抑えられます。充実したサポート体制にも定評があり、LaKeel BIの運用が現場で定着するまで無料でスキルアップの支援を受けることができます。
費用
サーバーライセンス型の課金方式が採用されており、ユーザー数に応じて高額化しがちな一般的なBIツールとは一線を画しています。詳細な料金プランについては非公開のため、公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
豊富なテンプレートを活用し、レポート作成業務を効率化したい方におすすめです。また、導入にあたって手厚いサポートを受けたい方、コストの高額化を抑えたい方にも向いています。
URL
MicroStrategy 2021
MicroStrategy 2021は、アメリカのMicroStrategy社が提供するBIツールです。
ツールの特徴
MicroStrategy 2021は、エンタープライズでの活用に最適化されたBIツールです。全社での導入を想定した設計となっており、特定の部署または組織全体など、配信先を指定してレポートを迅速に共有できます。
また、スマホやタブレットなどモバイル端末との連携にも強みがあります。モバイルアプリのパフォーマンスは高速で、移行中や商談中でもスムーズにレポートを参照できるというメリットがあります。
費用
有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
エンタープライズでの活用に最適化されているため、組織全体でBIツールを活用していきたい方におすすめです。また、モバイルアプリのパフォーマンスが優れていることから、商談や出張など、社外での活動機会が多い方にも適しています。
URL
https://www.microstrategy.com/ja
Alteryx Designer
Alteryx DesignerはAlteryx社が提供するBIツールです。
引用元:Alteryx Designer
ツールの特徴
Alteryx Designerでは、ワークフロー機能を活用することでデータ分析業務を自動化出来ます。データ分析には、データの抽出や加工、集計・可視化、予測といったプロセスがありますが、これらの手順をワークフローとして設定することで、次回以降は同じ分析をボタン一つで実行できるようになるのです。
また、Alteryx Designerは基本的なOLAP分析だけでなく、予測分析などのデータサイエンスや地図データを活用した商圏分析など、多岐にわたる機能がサポートされています。
費用
有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
定期的に行う分析業務を、ワークフロー機能により自動化したい方におすすめです。OLAP分析にとどまらずシミュレーションも行いたい方、商圏分析を実施したい方にも適しています。
URL
https://www.alteryx.com/ja/products/alteryx-platform/alteryx-designer
Yellowfin
Yellowfinは、Yellowfin Japan社が提供するBIツールです。
引用元:Yellowfin
ツールの特徴
Yellowfinは、導入や運用を効率的に行えることが大きな特徴となっています。Webベースの集中管理システムが採用されているため、導入にあたっての自社サーバの増設や、各クライアントPCへのインストール作業が不要です。
Yellowfinのライセンスが付与されたユーザーであれば、WebブラウザベースですぐにOLAP分析を始られます。また、「自動分析機能」という独自機能も備えています。これは、データに何か重要な変化があった際にそれを検知し、関係者に通知が届くという仕組みです。
エンタープライズ向けの活用実績が豊富にあり、セキュリティも強固に設計されています。
費用
有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
通常多くの時間や手間がかかる、BIツールの導入や運用を効率的に行いたい方におすすめです。Webベースの集中管理方式となっているため、サーバ増設やインストール作業が不要であり、また導入後のメンテナンスも効率的に行えるためです。
URL
Sisense
Sisenseは、アメリカのSisense社が提供するBIツールです。
引用元:Sisense
ツールの特徴
Sisenseには、in-chipと呼ばれる独自技術が採用されており、高速なデータ処理が可能です。数億行以上のデータもストレスなく扱うことができ、また大量のユーザーが同時接続しても高度なパフォーマンスが維持されるなど、処理性能に大きな強みがあります。
さらには、200以上のコネクターが用意されており、ノーコードでデータを取り込めるなどデータ連携機能も充実しています。
費用
有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
数億行単位の大量のデータをストレスなく扱うことができるBIツールをお探しの方におすすめです。データ連携機能も充実しているので、多種多様なデータを結合し、大規模な分析を行う際に力を発揮するツールです。
URL
データスタジオ@WEB
データスタジオ@WEBはDTS社が提供するBIツールです。
引用元:データスタジオ@WEB
ツールの特徴
データスタジオ@WEBはWebベースのシステムです。そのため、導入時の各クライアントへのインストール作業が不要であり、またWebブラウザ経由で全ての機能を利用できます。すぐに使い始めることができ、シンプルなユーザーインターフェースでOLAP分析やレポーティングができるのがデータスタジオ@WEBの特徴です。
ユーザーの詳細な利用ログの取得や、メール通知によるログイン承認機能など、セキュリティ面の機能も充実しています。
費用
有料版の費用は非公開となっています。詳細は公式HPよりお問い合わせください。
こんな方におすすめ!
手間をかけずに導入し、シンプルなユーザーインターフェースでOLAP分析を行いたい方におすすめです。またセキュリティ機能が充実していることから、機密性の高い情報を分析したい場合にも適しています。
URL
https://dts-bigdata.jp/service/datastudio.html
OLAP分析ができるフリー(無料)のBIツール
OLAP分析ができる無料のBIツールとして、Pentahoをご紹介します。
Pentaho
PentahoはアメリカのPentaho社が開発したオープンソースのBIツールです。Pentaho社は買収により、現在は日立ヴァンタラ社の傘下に入っています。
引用元:Pentaho
ツールの特徴
Pentahoは、OLAP分析はもちろんのこと、高度なデータマイニングも扱えるBIツールです。Wekaプロジェクトがベースとして採用されており、クラスタリングや主成分分析、ランダムフォレストといった一通りの機械学習アルゴリズムを利用できます。
PentahoはオープンソースのBIツールであるため、エンジニアによる自社独自機能の実装も可能です。
こんな方におすすめ!
自社のニーズに合わせて機能をカスタマイズしたい方や、OLAP分析だけでなくデータマイニングも行いたい方におすすめです。ただしカスタマイズにはプログラミングのスキルが必要となるため、エンジニアのリソースを確保する必要があります。
URL
https://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/platform/pentaho/index.html
BIツール初心者の方にはレポート作成に特化したBIツールもおすすめ
BIツール初心者の方には、機能がシンプルなレポート作成に特化したBIツールもおすすめです。
レポート作成に特化したBIツールがおすすめの理由
初心者の方にレポート作成に特化したBIツールがおすすめの理由は以下の3点です。
- 習得のハードルが低い
- テンプレートを活用できる
- 比較的安価で利用できる
1.習得のハードルが低い
レポート作成に特化したBIツールは、メニューや操作性がシンプルに設計されているため、初心者の方でも無理なく操作を覚えられます。
BIツールによってはレポート作成以外にもデータマイニングや商圏分析、ワークフロー機能など多機能を備えたものもありますが、基本的な分析であれば集計や可視化、レポート作成ができれば十分です。
そのためまずは、習得のハードルが低いレポート作成に特化したBIツールから始めていただくのがおすすめです。
2.テンプレートを活用できる
レポート作成に特化したBIツールの多くでは、レポートのテンプレートが用意されています。初心者の方は特に、分析のアウトプットをレポート化する際、レイアウトやデザインの検討に手間取ってしまうことが多いでしょう。
テンプレートを活用すれば、そのような手間を省き、分析結果の解釈に集中できます。
3.比較的安価で利用できる
レポート作成に特化したBIツールは、高度なデータマイニングなどの機能を備えていない分、費用も比較的安価である場合が多いです。中には無料で利用できるツールもあります。初心者の方がいきなり高度な分析機能を使用することは難しいため、まずは機能が絞られており比較的安価に利用できる、レポート作成に特化したBIツールを活用いただくことがおすすめです。
広告レポートを自動作成できるBIツール「Databeat Explore」
広告レポートを自動作成できるBIツールのおすすめとして、アジト株式会社が提供するDatabeat Exploreをご紹介します。
「Databeat Explore」の3つの活用ポイント
広告運用レポート作成における「Databeat Explore」の3つの活用ポイントは以下のとおりです。
- 異なる媒体の指標を統一できる
- 一連のデータ管理作業を自動化できる
- クリエイティブレポートも作成できる
異なる媒体の指標を統一できる
Databeat Exploreは、収集したデータを一元管理する際に指標をマッピングし、同じ尺度に統一します。このため、複数媒体同士を比較することも可能となり分析の幅が広がります。同時に各媒体の管理画面を個別に開く必要もなくなるため、作業時間も短縮できます。
一連のデータ管理作業を自動化できる
Databeat Exploreは、各種媒体のデータを自動で収集・更新・出力できます。広告媒体の連携も簡単で、一度連携すれば以降はDatabeat Exploreが作業を行うためユーザーの手間もかかりません。
出力はGoogleデータポータルやExcelなどでレポートを自動で作成し、共有まで行います。レポートのテンプレートはカスタマイズも可能で、自由度の高いレポートを作成できます。
クリエイティブレポートも作成できる
Databeat Exploreでは、ディスプレイ広告の画像や動画広告のサムネイル出力まで自動実行できます。フォーマットはGoogleデータポータルとExcelどちらにも対応。クリエイティブの検証が重要なディスプレイ広告などで効果的に検証を実施できます。
「広告運用」「マーケティング施策」のパフォーマンス分析をするのに欠かせないのがレポートツールです。レポートツールには多くの種類があり、活用方法によっては自社にとって有益な情報を得ることもできます。 しかし、レポートツールを導入する上で[…]
まとめ
今回は、OLAPについて基礎知識や、OLAP分析ができるおすすめのBIツールについてご紹介してきました。OLAP分析とは、特定の指標をスライシングやダイシング、ドリルダウンといった手法を使ってさまざまな角度から見ていく分析方法です。
最も基本的でよく使う分析方法であるため、本記事をご参考として、自社のニーズに合っていて使い勝手のよいBIツールを選定いただければと思います。