Google広告には「自動入札」「手動入札」「スマート入札」といった入札オプションが設けられています。自社の目標に応じて、最適な入札オプションを選択すると、広告パフォーマンスを最大化できます。
しかし、入札戦略について考える上で、
「自動入札の定義が分からない」
「自動入札と手動入札は何が違う?」
「自社に合った入札戦略が知りたい」
上記のような課題が生じるかと思います。本記事では、企業の広告担当者様へ向けて、Google広告自動入札の「基礎知識」「設定方法」「入札戦略」について詳しく紹介します。
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- 1 Google広告の自動入札とは?手動入札との違いをまずはおさらい
- 2 Google広告での手動入札・自動入札のメリット・デメリット
- 3 Google広告の自動入札の種類と仕組み
- 4 Google広告の自動入札戦略の種類と上手に選ぶポイント
- 5 Google広告の自動入札の導入条件
- 6 Google広告の自動入札の設定方法
- 7 複数キャンペーンを運用している方にはポートフォリオ入札戦略がおすすめ!
- 8 Google広告のポートフォリオ入札戦略の設定方法
- 9 Google広告の自動入札でより成果を上げるための運用ポイント
- 10 Google広告の自動入札を導入する際の注意点
- 11 自動入札の効果測定、分析を上手に実施するポイント
- 12 Google広告の効果を可視化する!おすすめのレポート自動化ツール
- 13 まとめ
Google広告の自動入札とは?手動入札との違いをまずはおさらい
はじめに、Google広告の自動入札と手動入札の違いについて紹介します。それぞれがどのように機能するか理解した上で、自社の入札戦略に反映させましょう。
Google広告の自動入札とは?
引用:Google Ads
自動入札は、設定したキャンペーンに基づいて、広告パフォーマンスを最大化することを目的として設計された入札戦略です。目標を最大化するために、入札をGoogleが自動的に実行します。
入札調整を自動化することで、キーワードや広告グループの入札単価を手動で更新する必要がなくなります。自動入札戦略では、過去のデータを使用して将来の入札を予想し、時間をかけて学習していく特徴があります。
参考:手動入札との違い
手動入札は、広告グループ、キーワード単位で上限入札単価を設定できます。自動入札と違い、意図を細かく反映できますが、その分手間がかかります。自動入札戦略を活用するには、手動入札でコンバージョンを達成して、Google機械学習にデータを蓄積する必要があります。
そのため、Google広告運用初心者の方は手動入札から始めるのが基本の流れとなります。
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Google広告での手動入札・自動入札のメリット・デメリット
Google広告での手動入札・自動入札のメリット・デメリットを紹介します。
Google広告での手動入札・自動入札のメリット・デメリット比較まとめ
Google広告での手動入札・自動入札のメリット・デメリット比較まとめは下記の通りです。
入札方法 | メリット | デメリット |
手動入札 | 個別調整が可能 詳細なコントロール さまざまな運用ケースに対応できる |
管理が大変 ヒューマンエラーが発生しやすい 時間がかかる |
自動入札 | 効率の向上 正確な予測 詳細なターゲティング |
トラフィックとコンバージョンの要件あり 複雑なアカウント設計に対応できない 大幅な変更にすぐ対応できない |
手動入札は詳細な調整が可能で、小規模のアカウント向きです。自動入札は効率化を重視しており、大規模なアカウントに適しています。
手動入札のメリット
手動入札のメリットは下記の通りです。
メリット①個別調整が可能
手動入札の場合、個別に入札調整ができます。例えば、リスティング広告でコンバージョンが多く見込めるキーワードがあったとすれば、そのキーワードだけに対して入札額を多く設定するなどの細かい調整ができます。
メリット②詳細なコントロール
手動入札の場合「配信時間帯の調整」「掲載順位」「ユーザー層別入札」など、詳細なコントロールを活用して入札戦略を実行できます。
メリット③さまざまな運用ケースに対応できる
さまざまな運用ケースに対応できるのも手動入札のメリットです。特に季節によってコンバージョンの変動が大きい商品の場合は、手動で入札額を調整するのが適しています。自動入札は過去のコンバージョンデータを学習するため、セールや季節などの変動が大きい場合、的確な戦略が取れない可能性があるためです。
手動入札のデメリット
手動入札のデメリットは下記の通りです。
デメリット①管理が大変
広告アカウントが大きくなるほど、入札管理の課題も大きくなります。複数のキャンペーン、広告、およびキーワードリストへの手動入札は、膨大なタスクになる可能性があります。
デメリット②ヒューマンエラーが発生しやすい
手動入札は、自動入札に比べてヒューマンエラーが発生しやすいデメリットもあります。非効率な上にミスも多くなると、広告パフォーマンスに大きな影響を与える可能性もあります。
デメリット③時間がかかる
時間がかかる点も手動入札のデメリットです。手動入札の作業だけで、フルタイムの仕事になる可能性があるため、コストに見合わないケースがほとんどです。
自動入札のメリット
自動入札のメリットは下記の通りです。
メリット①効率の向上
自動入札を活用すると、入札業務を自動化できるため作業効率化が期待できます。自動化によって時間に余裕ができれば、他の重要なタスクに集中できます。また、アカウントが大きくなっても、広告グループを効率的に管理できるのもメリットです。
メリット②正確な予測
Google広告の自動入札は、高度な機械学習アルゴリズムにより、キャンペーンについて正確な予測を実施した上での広告運用が可能です。キーワードなどを正確に分析することで、最適な広告配信が実現できます。
メリット③詳細なターゲティング
自動入札では、ユーザーに関する識別可能な属性(シグナル)を活用することで、詳細なターゲティングが実現できます。「ブラウザ」「曜日・時間帯」「所在地」「デバイス」などの情報を基に、最適なユーザーに広告配信できるので、手動入札よりもニーズに合った広告配信が可能です。
自動入札のデメリット
自動入札のデメリットは下記の通りです。
デメリット①トラフィックとコンバージョンの要件あり
自動入札を最大限活用するには、過去のコンバージョンのデータが必要です。そのため、広告アカウントのトラフィックの流れが良好になり、コンバージョン数が適切になるまで、データを集める必要があります。
デメリット②複雑なアカウント設計に対応できない
自動入札は、複雑なアカウント構成に対応できません。キーワードや広告グループを複雑に細分化している場合、Google機械学習が対応しない可能性があります。自動入札を実施するときは、シンプルなアカウント設計を心掛けましょう。
デメリット③大幅な変更にすぐ対応できない
広告アカウントに大幅な変更があった場合、そこから学習するために時間を必要とします。したがって、過度な入札変更を行うとGoogle機械学習が追いつくまで、アカウントのパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
【結論】Google広告の自動入札はこんな方におすすめ!
Google広告の自動入札は下記のような方におすすめです。
- 広告運用のタスク作業を効率化したい
- 出稿しているキャンペーンが多い
- 費用対効果を改善したい
- 配信精度を高めたい
- 過去30日間で50件以上のコンバージョンがある
Google広告の自動入札の種類と仕組み
自動入札の種類や仕組みについて紹介します。下記内容を理解した上で、入札戦略を組み立てましょう。
Google広告の自動入札の種類
Google広告の自動入札は下記2つに分類できます。
自動入札
自動入札は、「クリック数の最大化」「目標インプレッションシェア」の目標に応じて自動で入札単価を設定します。
スマート自動入札
スマート自動入札は、シグナルを分析することでコンバージョンを最大化するための入札オプションです。シグナルを使用して、クリックがコンバージョンに繋がるかをGoogleが自動で判断します。例えば、商品を購入する可能性が高いユーザーに対しては、より高い入札単価を自動で設定するなどの調整ができます。
現在、Googleには下記5つのスマート入札戦略があります。
- 目標コンバージョン単価
- 拡張クリック単価
- 目標広告費用対効果
- コンバージョン数最大化
- コンバージョン値最大化
スマート入札を使用するには、コンバージョントラッキングを有効にする必要があります。さらに、目標コンバージョン単価であれば、過去30日間に少なくとも30回のコンバージョン、目標広告費用対効果であれば、少なくとも50回のコンバージョンが必要です。
自動入札の仕組みを理解する上で重要な「シグナル」
シグナルは、入札単価の最適化時にGoogleが参考にするユーザー属性データです。主に利用されるシグナルは下記の通りです。
- 所在地
- デバイス
- 地域に関する意図
- 曜日と時間帯
- リマーケティングリスト
- 広告の特性
- ブラウザ
- キーワード
- 趣味嗜好
例えば「過去に同じ時間帯に多くのコンバージョンが発生した履歴があるので、この時間帯では入札単価を調整する」「このユーザーであれば、商品に興味を持ちそうなので、入札単価を調整して広告表示させる」などの対策が、シグナルによって実行できます。
Google広告の自動入札戦略の種類と上手に選ぶポイント
Google広告の自動入札戦略の種類と上手に選ぶポイントを紹介します。
【前提】Google広告における「自動入札戦略」とは?
Google広告の自動入札戦略は「クリック数最大化」「コンバージョン数最大化」など、自社が設定した目標を達成するために、自動で入札を調整する機能です。例えば「コンバージョン数最大化」を入札戦略として指定したのであれば、Googleが入札単価を自動で最適化して、予算内でコンバージョンを最大化するための広告配信を実行します。
Google広告の自動入札戦略の種類と目的まとめ
Google広告の自動入札戦略の種類と目的まとめは下記の通りです。
入札戦略 | 適用箇所 | 向いている人 |
クリック数の最大化 | キャンペーン、複数のキャンペーン、広告グループ、キーワード | トラフィックを増やしたい方 |
目標インプレッションシェア | キャンペーン | リスティング広告のインプレッションを増やしたい方 |
目標獲得コスト(CPA) | キャンペーン、広告グループ | 設定したCPA内で多くのコンバージョンを獲得したい方 |
コンバージョン数最大化 | キャンペーン | 予算が多く、広告運用を自動化してコンバージョンを増やしたい方 |
コンバージョン値最大化 | 検索ネットワークのみ | リスティング広告運用をしており、コンバージョンを増やしたい方 |
目標広告費用対効果(ROAS) | キャンペーン、広告グループ、キーワード | ROASの目標達成を目指しコンバージョン値を最大化したい方 |
視認範囲のインプレッション単価制(vCPM) | ディスプレイキャンペーンのみ | クリック数またはトラフィックが目標ではなく、ブランド認知度を高めたい |
ショッピングキャンペーンの自動入札戦略は下記の通りです。
入札戦略 | 適用箇所 | 向いている人 |
クリック数の最大化 | キャンペーン、広告グループ(通常のショッピングキャンペーンのみ) | トラフィックを増やすのが目標の方 |
拡張単価強化(eCPC) | キャンペーン、広告グループ、キーワード(通常のショッピングキャンペーンのみ) | 管理を維持しながら自動入札戦略へ移行したい方 |
目標広告費用対効果(ROAS) | キャンペーン、広告グループ、キーワード(通常のショッピングキャンペーンのみ) | ROASの目標達成を目指しコンバージョン値を最大化したい方 |
コンバージョン数最大化 | キャンペーン(スマートショッピングキャンペーンのみ) | スマートショッピングキャンペーンを出稿しており、コンバージョンを増やしたい方 |
- ショッピングキャンペーン=Google検索に表示される従来の広告
- スマートショッピングキャンペーン=ディスプレイネットワークにも表示されるショッピング広告
Google広告の自動入札戦略を上手に選ぶポイント
Google広告の自動入札戦略を上手に選ぶポイントを3つ紹介します。
- そもそも自動入札が適切か判断する
- コンバージョンとトラフィック
- キャンペーンの目的から選択する
1.そもそも自動入札が適切か判断する
そもそも自動入札が適切か判断する必要があります。まずは「手動入札」「自動入札」「スマート自動入札」の特徴を理解した上で判断しましょう。各入札設定の特徴は下記の通りです。
- 手動入札=自分で詳細に入札額を管理したい
- 自動入札=作業効率を改善したい(ある程度のデータが必要)
- スマート自動入札=コンバージョンを向上したい/作業効率を改善したい(ある程度のデータが必要)
「自動入札」「スマート自動入札」に関してはGoogle機械学習を利用するので、ある程度のクリックやコンバージョンデータが必要です。そのため、広告運用初心者は「手動入札」を選択する必要があります。
2.コンバージョンとトラフィック
選択肢が自動入札であれば、「コンバージョン」と「トラフィック」どちらを獲得したいかで、選択肢を絞ることができます。基本的にサイトへのトラフィック向上や作業を効率化したい場合は「自動入札」が適しています。
コンバージョントラッキングを利用しており、コンバージョン獲得を目標としている場合は「スマート入札」が適しています。
3.キャンペーンの目的から選択する
Google広告ではキャンペーンの目的によって選択できる入札戦略が異なります。まずは出稿しているキャンペーンを基に入札戦略を選定してみましょう。詳細は下記の通りです。
リスティング広告
リスティング広告を運用している場合は「インプレッション数増加」「サイトへのトラフィック増加」「コンバージョン増加」「費用対効果の改善」から入札戦略を選定しましょう。例えば、自社の目標に対してクリック数が足りない場合は、「インプレッション数増加」「サイトへのトラフィック増加」の入札戦略が有効です。
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ディスプレイ広告
ディスプレイ広告を運用しており、より多くのユーザーに認知を実施したい方は「視認範囲のインプレッション単価」がおすすめです。コンバージョンに関して課題がある方は、「目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果」を選択しましょう。
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ショッピングキャンペーン
ショッピングキャンペーンには、「拡張クリック単価」という入札戦略が設けられています。「拡張クリック単価」は「目標コンバージョン単価」「コンバージョン数の最大化」のような自動入札ではなく、半自動入札ともいわれています。
そのため、広告運用スタート段階では「拡張クリック単価」を活用するケースが多く、徐々に自動入札に移行していくのがおすすめです。
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Google広告の自動入札の導入条件
自動入札の導入条件について紹介します。自動入札戦略により導入条件が異なるので、代表的な戦略ごとに導入条件を見ていきましょう。
- 目標獲得コスト(CPA)の導入条件
- 目標広告費用対効果(ROAS)の導入条件
- クリック数の最大化の導入条件
- コンバージョン最大化の導入条件
- 拡張単価強化(eCPC)の導入条件
条件①:目標獲得コスト(CPA)の導入条件
目標獲得コスト(CPA)を使用する場合は、キャンペーンで過去30日間に少なくとも30回のコンバージョン獲得と、コンバージョントラッキングを設定している必要があります。
目標獲得コスト(CPA)を利用したいがコンバージョンが足りない場合は、「手動入札」または「ポートフォリオ入札」を活用しましょう。「ポートフォリオ入札」については記事後半で紹介します。
条件②:目標広告費用対効果(ROAS)の導入条件
目標広告費用対効果(ROAS)を使用する場合は、目標獲得コスト(CPA)よりも多くのデータが必要になると理解しましょう。キャンペーンで過去30日間に少なくとも50回のコンバージョン獲得と、コンバージョントラッキングを設定している必要があります。
そのため、目標広告費用対効果(ROAS)の場合は、大規模なキャンペーン向きの自動入札戦略といえます。
条件③:クリック数の最大化の導入条件
コンバージョンに特化したスマート入札戦略を活用する場合は、「コンバージョントラッキング」や「コンバージョンデータ」が必要ですが、クリック数の最大化を利用する場合は、特に条件はありません。
そのため、Google広告にて「コンバージョントラッキング」を設置していない場合は、クリック数の最大化がおすすめです。
条件④:コンバージョン最大化の導入条件
コンバージョン最大化を使用する場合は、キャンペーンで過去30日間に少なくとも30回のコンバージョン獲得と、コンバージョントラッキングを設定している必要があります。
コンバージョン最大化を入札戦略とするときは、Googleに対して一日あたりの予算を伝えます。ただし、コンバージョン最大化は常に1日あたりの予算を最大限使用するので注意が必要です。
条件⑤:拡張単価強化(eCPC)の導入条件
拡張単価強化(eCPC)を利用する場合は、コンバージョンに特化した入札戦略のように大量のデータは必要ないため、あらゆるタイプのキャンペーンで安全に活用できます。ただし、支出上限がないため、入札単価とクリック単価が非常に高くなり、収益性が失われる可能性があります。
拡張単価強化(eCPC)は自動化に向けてのテスト段階に適している方法ですが、戦略が機能しているか、しっかり監視する必要があります。
Google広告の自動入札の設定方法
Google広告の自動入札の設定方法を紹介します。下記に沿って自動入札を実装してみましょう。
手順1.新しいキャンペーンの作成
引用:Google Ads
新しいキャンペーンを作成します。すでに作成している場合は、編集画面でも自動入札設定の変更が可能です。
手順2.入札戦略を変更
引用:Google Ads
一日の予算を設定した後に、単価設定の項目で「入札戦略を変更」を選択します。
手順3.自動入札戦略を選択
引用:Google Ads
各キャンペーンに対応した入札戦略を選択します。その後は、通常通りキャンペーンを作成して完了です。
複数キャンペーンを運用している方にはポートフォリオ入札戦略がおすすめ!
複数キャンペーンを運用している方にはポートフォリオ入札戦略がおすすめです。詳細は下記の通りです。
Google広告のポートフォリオ入札戦略とは
引用:Google Ads
ポートフォリオ入札は、1つの入札戦略でキャンペーンをグループ化する戦略です。「目標獲得コスト(CPA)」「目標広告費用対効果(ROAS)」などの入札戦略を複数のキャンペーンに採用できるので、入札作業をさらに効率化できます。
また、1つの入札戦略でキャンペーンをグループ化することで、キャンペーンを跨いだ分析も可能になるメリットがあります。
ポートフォリオ入札戦略の利用がおすすめのシーン
ポートフォリオ入札戦略の利用がおすすめのシーンは下記の通りです。
目標獲得コスト(CPA)戦略を実行している場合
ポートフォリオ入札戦略は、目標獲得コスト(CPA)戦略を実行している広告主に最適です。例えば、自社が設定したCPAを基に、関連するクリック単価上限を設定できるためです。スマート自動入札では、Google広告のアルゴリズムにより、クリック単価が通常よりもはるかに高くなる場合があります。
そのため、ポートフォリオ入札戦略にて、クリック単価を低く設定しておけば、CPA改善に繋がりやすくなります。
マッチタイプ、デバイス、場所別にセグメント化されたキャンペーンの場合
マッチタイプ、デバイス、場所別にセグメント化されたキャンペーンを実行している場合は、ポートフォリオ入札戦略がおすすめです。キャンペーン別の自動入札設定だと、1つのキャンペーンの成果が悪い場合、他のキャンペーンで目標を上回らせる必要があるため、キャンペーンを跨いだ分析が必須となります。
通常の自動入札だと、キャンペーンを跨いだ分析には多くの時間がかかりますが、ポートフォリオ入札戦略であれば、入札戦略レポートにて各キャンペーンの比較が簡単に実施できます。
Google広告のポートフォリオ入札戦略の設定方法
Google広告のポートフォリオ入札戦略の設定方法は下記の通りです。
手順1.新しいポートフォリオ入札戦略を作成
引用:Google Ads
「ツールと設定」→「共有ライブラリ」→「入札戦略」を選択します。
手順2.入札戦略を選択
引用:Google Ads
入札戦略を選択します。
手順3.入札戦略の設定
引用:Google Ads
「ポートフォリオ入札戦略名」「対象のキャンペーン」「予算」等を記入して最後に保存を選択します。
手順4.確認
引用:Google Ads
管理画面にポートフォリオ入札戦略が追加されれば完了です。
Google広告の自動入札でより成果を上げるための運用ポイント
自動入札でより成果を上げるには、下記3つのポイントを理解しましょう。
- 適切な入札戦略を選択する
- ポートフォリオ入札戦略と共有予算を組み合わせる
- 最適化を続ける
ポイント①適切な入札戦略を選択する
はじめに自社広告運用の目標を設定して、それを達成するための適切な入札戦略を選択しましょう。「Google広告の自動入札戦略を上手に選ぶポイント」で紹介した内容を基に戦略を慎重に決めてください。
ポイント②ポートフォリオ入札戦略と共有予算を組み合わせる
ポートフォリオ入札戦略を実行する場合は、共有予算との組み合わせがおすすめです。共有予算は、Google広告の予算管理方法の1つで、各キャンペーンの予算を共有する機能です。同じ広告費用内で、効率的に予算を使うことができるので、予算が少ない場合に役立ちます。
例えば、1日の予算が1万円で、2つのキャンペーンを出稿していると仮定します。片方では5,000円の予算を使い切り、片方では4,000円しか使いきれなかった場合、残りの1,000円を成果が良かったキャンペーンに再配分することができます。
共有予算では成果の良かったキャンペーンに予算を多く投入できるので、ポートフォリオ入札戦略のメリットを最大限生かせます。
ポイント③最適化を続ける
自動入札を実施すると、これまでのタスクが軽減されて、より多くの時間を確保できます。この時間を活用して、広告クリエイティブ微調整、ランディングページ改善などの最適化を実施することで、広告パフォーマンスを向上できます。
最適化により広告運用が改善されれば、その結果もGoogleが学習し、さらに自動入札も最適化されます。
Google広告の自動入札を導入する際の注意点
Google広告の自動入札を導入する際の注意点について紹介します。下記注意点を理解してから、自動入札を導入するようにしましょう。
- 季節の傾向
- スケジュールに余裕を持つ
- データ蓄積が必須
注意点①季節の傾向
自動入札を利用する時は、季節の傾向に注意が必要です。季節限定のビジネスの場合、時期によってGoogle広告のパフォーマンスが異なるためです。例えば、クリスマスシーズンによく売れる商品を扱っていると仮定しましょう。
クリスマスシーズンのコンバージョン率が通常よりもはるかに高い場合、この結果をすべて反映させてしまうと通常シーズンでも積極的に入札してより多くの予算を費やしてしまうリスクがあります。このような場合は「季節性の調整」を利用します。
「季節性の調整」では、見込まれるCVRの増減幅を設定することで、入札単価が最適化されるスマート自動入札機能です。
引用:Google Ads
Google管理画面の「ツールと設定」→「入札戦略」から「季節性の調整」を設定することができます。
注意点②スケジュールに余裕を持つ
自動入札機能を導入する際は、スケジュールに余裕を持つようにしましょう。Googleの機械学習に関しては、ある程度の学習期間が必要です。学習期間は、実際のデータ量によって異なるので、1週間~1か月ほど掛かる場合もあります。
また、学習期間中にキャンペーンに大きな変更を加えると、正確な自動入札ができなくなるので、学習期間が完了するまでは、パフォーマンスチェックなどの簡単な作業のみ実行してください。
注意点③データ蓄積が必須
自動入札を活用する場合は、データ蓄積が必須です。特に、スマート自動入札などのコンバージョンに関する自動入札の場合は、コンバージョンデータが蓄積できていない状態だと、自動入札の精度は低下します。コンバージョンも見込めず、予算をすべて使ってしまう最悪のケースも想定されます。
「コンバージョン最大化」「目標獲得コスト(CPA)」の自動入札は、一か月で最低30コンバージョンが目安となっています。「目標広告費用対効果(ROAS)」の場合は、さらに多い最低50コンバージョンが必要です。
自動入札の効果測定、分析を上手に実施するポイント
自動入札の効果測定、分析を上手に実施するポイントを3つ紹介します。下記ポイントを参考に自動入札の分析を実施しましょう。
- 自動入札の効果測定は自動入札の前後期間でのCTR/CPC/CVRを比較しよう
- 入札戦略レポートを利用する
- 適切な目標値設定をする
POINT1:自動入札の効果測定は自動入札の前後期間でのCTR/CPC/CVRを比較しよう
自動入札の効果測定を上手に実施するには、自動入札の前後期間でのCTR/CPC/CVRを比較しましょう。時系列で各指標をチェックしてそれぞれが改善されているかを確認します。選択している入札戦略によって、確認すべき指標は異なるので、下記内容を参考にしてください。
入札戦略 | 確認すべき指標 |
クリック数の最大化 | クリック数/平均クリック単価/クリック率/費用 |
インプレッションシェア | 表示回数/費用 |
目標コンバージョン単価 | 平均目標コンバージョン単価/CPA//コンバージョン数/コンバージョン率/費用 |
コンバージョン数の最大化 | コンバージョン数/コンバージョン率/費用 |
目標広告費用対効果 | 広告費用対効果/コンバージョン値/コンバージョン数/費用 |
コンバージョン値を最大化 | コンバージョン値/平均広告費用対効果/費用 |
POINT2:入札戦略レポートを利用する
引用:Google Ads
入札戦略レポートを利用すると、入札戦略のパフォーマンスをより正確に分析できます。入札戦略レポートでは、入札戦略と関連性の高い指標やステータスを確認できます。通常の自動入札とポートフォリオ入札戦略両方に対応したレポートとなっています。
レポートで確認できる内容は下記の通りです。
項目 | 詳細 |
入札戦略のステータス | 戦略が最適化されているか確認できる |
上位のシグナル | Googleが参考にしているシグナルを確認 |
スコアカード | 重要指標を確認 |
コンバージョン達成までの所要時間 | 平均的な所要期間 |
掲載結果グラフ | 指標のパフォーマンスの推移を確認 |
例えば、スコアカードでは、自社で選択した自動入札戦略と重要性の高い指標を確認できます。また、掲載結果グラフでは2つの指標をグラフで可視化できるので、自動入札の成果を一目で確認可能です。レポート確認手順は下記の通りです。
- 入札戦略レポート=キャンペーン一覧から、表示項目で入札タイプを選択
- ポートフォリオ入札戦略=ツール設定の入札戦略から確認
POINT3:適切な目標値設定をする
自動入札戦略では、目標値を設定する際に適切な範囲にすることで、分析作業がスムーズになります。はじめは、自動入札戦略導入以前と同じ目標に設定して、パフォーマンスが見込めるようになってから徐々に目標値を高くしていきましょう。
例えば、コンバージョン単価の入札戦略を実行していると仮定します。現状のコンバージョン単価が5,000円だが、目標コンバージョン単価を1,000円とするような高すぎる目標を設定すると、正常な広告配信が実施できず、分析ができないだけではなくコンバージョンの低下にも繋がります。
引用:Google Ads
Google広告では「リスティング広告」「ディスプレイ広告」どちらでもキャンペーン作成時に目標コンバージョン単価の推奨値が確認できるので、こちらを参考にした上で、目標を設定しましょう。
Google広告の効果を可視化する!おすすめのレポート自動化ツール
自動入札によって広告担当者の作業を効率化することはできますが、そのほかにレポート作成業務等のタスクが課題になっている企業も多いかと思います。そんな方におすすめなのがGoogle広告効果を可視化するレポート自動化ツールです。
Databeat Explore
Databeat Exploreは、様々な広告媒体に対応したレポート自動化ツールです。レポート作成における業務のほとんどを自動化することで、広告運用担当者の作業を効率化できます。
Databeat Exploreで実現できること
Databeat Exploreで実現できることは下記の通りです。
1.広告分析の幅が広がる
Databeat Exploreは「Google広告」以外にも「SNS広告」など多くの媒体に対応しています。各媒体のレポート作成を自動化するだけではなく、1つの画面で比較もできるので、複数の広告媒体を運用する企業にとっては大きなメリットになります。
また、媒体ごとに異なる指標を自動で統一する機能も搭載しているので、比較業務もスムーズに実施できます。
2.優れた共有機能
Databeat Exploreは、広告データを自動で更新し「Googleスプレッドシート」等へ自動で出力できます。これにより、マーケティングチームで常に最新の広告データを共有できるので、何か問題が発生してもすぐ行動に移ることができます。
まとめ
Google広告自動入札について紹介しました。自動入札はGoogle学習機能により、成果の見込める広告運用を実現できます。自動入札には、様々な入札戦略が設けられており、自社に合った戦略を選定する必要があります。ただし、入札戦略によっては過去1か月間のコンバージョンが30以上などの導入条件があるので注意が必要です。
目標獲得コスト(CPA)戦略を実行している方にはポートフォリオ入札戦略がおすすめです。ポートフォリオ入札戦略にてクリック単価を低く設定しておけば、CPA改善に繋がりやすくなります。自動入札の成果を確認するときは、入札戦略レポートを利用すると効率良く分析できます。
さらに、広告運用業務を効率化したい方は、レポート自動化ツールもおすすめです。
【無料】Databeatサービス紹介資料
広告レポート自動化ツール「Databeat」のサービス紹介資料です。
・Web広告のレポート作成工数を削減したい
・Looker Studioと連携できるレポートツールを探している
・低価格でレポート作成を自動化したい
上記のような課題をお持ちの方は、以下のフォームに必要な項目を入力のうえ、送信してください。
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